38歳精神科医が腹筋割るログ

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認知症に茶カテキンが効くって本当ですか?という話

どうもこんにちはモレキレカンです。

今日はたまには精神科医っぽいところを見せておこうというところでこんな話題になっております( ー`дー´)キリッ

よろしくお付き合いください!

 

認知症に茶カテキンが効くって本当ですか?という話

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認知症に茶カテキンが効く!」という話を聞いたことがありますか?今日は精神科医の立場から書いていこうと思います。

疑問としては

  1. 本当に効くの?
  2. どのくらいの量をどのくらいの期間取ればどのくらい効くの?
  3. そもそもどんなことに効果があるの?

というところでしょう。ひとつずつ発表されている研究結果を踏まえてお答えしていきましょう!

 

今回の記事は2018年9月に発表された論文を参考に書きます。以下のリンクから元の論文を無料で読むことが出来ます。カテキンアルツハイマー病に対する効果という題名のreview論文です。(reviewというのは単一の研究結果の論文ではなく最近までのテーマにまつわる論文を紹介し考察する論文の形式を言います)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6225145/pdf/molecules-23-02357.pdf

 

疑問1.本当に効くの?

結論から申し上げるとどうやら効果があるんじゃないかなー?というくらいの確実さで効きます笑

 

結論からと言いながら歯に物が挟まった言い方だなと思われるでしょうが、実はまさにそういう感じです。現在のところ、茶カテキン認知症の予防や改善に効果がありますとは厳密には断定出来ないのです。

研究はかなりおおざっぱに言うと、基礎的な試験管での実験→マウスなど生き物での実験→ヒトでの研究と進んでいきます。

 

マウスレベルでは、効果が確認されており、アルツハイマー認知症で増えるアミロイドβが減少する効果が確認されています。

ただ、このアミロイドβが減ることと認知症を予防できるかがイコールではないということには注意が必要です。

 

アルツハイマー認知症の直接の原因は今のところは判明しておりません。

アルツハイマー認知症の方の死後の脳を見たところ、アルツハイマー認知症のない方の脳に比べてアミロイドβが多いことから、アルツハイマー認知症の原因と何らかの関係があるものと考えられています。しかし、何らかの原因で認知機能を下げる原因が働いて、その結果としてアミロイドβが作られるとしたら、アミロイドβが減るだけではアルツハイマー認知症は予防ができません。

認知機能を下げる原因を食い止めたのでアミロイドβが減ったのか、ただ単にアミロイドβが減ったのかというのは大事なポイントになります。

 

そのため、マウスでの研究でアミロイドβが減少したというのはもしかしたら認知症の症状を抑制したり改善したりすることを期待できるのではないかという意味になります。

 

また、脳の中のアミロイドβがどのくらい溜まっているのかについては現状では調べることが簡単ではないので、ヒトでの研究は認知機能検査としてよく使われている長谷川式認知症スケールやMMSE(Mini Mental State Examination)が用いられています。

ですので、マウスでの研究ではアミロイドβの測定が行われ、ヒトでの研究ではアミロイドβが測定しにくいので認知機能検査が行われているという違いがあります。

 

そしてヒトでの研究と一口に言っても、いろいろな形式があります。ある時点でいろんな人にお茶をどのくらい飲むかと認知機能を検査して関連があるか調べたり、何年間かの追跡調査をしてよくお茶を飲む人とそうでない人の認知機能がどのように変化していくのかを調べたりなどです。ヒトでの研究の中でも一番効果を見るのに確実性が高いと言われている研究の形式にはランダム化比較試験(RCT:randomized controlled trial)というものがあります。

 

今回のreview論文中には2009年~2016年に発表された3つのRCTと、1つのRCTではない介入研究が載っています。その内の3つは日本で行われ、1つは韓国で行われた研究です。

 

①91人(平均年齢56歳)の軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)【診断基準が固定されておらず今回の研究ではMMSEのスコアが21点から26点】の方を対象にした研究。45人が1680mgのテアニンを46人が偽薬(マルトデキストリンラクトース)を16週間に渡り投与された。結果、偽薬と比べテアニン群で認知機能が改善した

 

②89人の高齢ボランティア(平均年齢87歳)のうち改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS‐R)の得点が21点以上だった29名(平均年齢85歳)にテアニン高含有緑茶抹摂取群と偽薬にランダムに振り分けられ12か月摂取した。偽薬群ではHDS-Rの得点が徐々に下がったが、テアニン高含有緑茶摂取群ではHDS-Rの得点が下がらなかった。(HDS-Rは得点が高いほど認知機能が高いということになるので、得点が下がらなかったというのは良い結果です。)

 

③12人(平均年齢88歳)の老人ホーム入所中の方でMMSEの得点が28点未満の方12人(平均年齢88歳)に緑茶抹2g/日を3か月間摂取してもらった。MMSE得点が15.3点から17.0点まで改善した。(MMSEも認知機能を測る心理検査で得点が高いほど認知機能が高いということになります。)

 

④27人(平均84.8歳)の老人ホーム入所中の方、MMSEの得点が平均15.8、1年間2gの緑茶摂取群とプラセボ群に分けた。1年後のMMSEに差はみられなかった

 

見て頂くとわかりますが、①の研究についてはカテキンではなくお茶の成分の中でもテアニンの方が重視されています。カテキンも含まれているものと思われますが、用量はわかりませんでした。またテアニン1680mgというのは緑茶26.6杯分なので日常的に摂取するのは難しそうです。

②に関してもテアニンの方が重視された記載になっています。そして③、④に関しては緑茶抹2gですから日常的に摂取できる量ですが、③では改善が見られたものの、④では偽薬と差が出なかったということになっています。

ですので、この4つの研究をまとめると高容量のテアニン含有緑茶には認知機能改善作用がありそうですが、まだ人数も少なく結論を出すには至っていないというところです。

 

介入研究ではまだはっきりとした成果とは言えないですが、RCTよりは信頼度が低いもののある時点から過去を振り返った観察研究では、緑茶を1日3杯以上飲む群で認知機能が良かったり、緑茶を500ml/日くらいまでは量が増えるに従い認知機能が良いという結果が出ていたりします。

初めに書いたようにどうやら効果がありそうだという歯に物が挟まったような言い方になってしまうということです。

 

また摂取する期間については4か月くらいからでも効果がみられる可能性があるということになりますが、効果を持続させるために摂取を継続する必要があるかどうかは記載がありません。新たな認知機能の低下を防ぐという意味では無理のない範囲で長く続ける方がよさそうに思います。

 

なんだか断言されないのはすっきりしないなとお感じになられたかと思います。その感覚はとても大事だと思います。人の体にどんな影響が出るかという大事なことは簡単には断言は出来ません

とくに臨床試験と言っても普通に生活しているなかでのものですから、ある特定のものがどんな働きをしているかを判定するのは一筋縄ではいきません。ですので逆に簡単に断言しているように感じる場合には注意が必要かもしれません。

 

私はこの論文を読んでからずっと粉末緑茶を毎日2杯飲んでしまっています。

カテキンと呼ばれるものたちだけでなくテアニンもバランス良くとなると、茶葉をまるごと摂れる粉末緑茶がおすすめです。

 

 

溶けも良いですし、1000円ですが500mlペットボトル30本分なのでだいぶお得です。なかなかなくなりません笑 お湯にも氷水にも溶けますから便利ですよね。

 

最後までお読み頂き誠にありがとうございます!

 

 

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